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LIVE REPORT:エレファントカシマシ「さらにドーンと行くぜ!」@大阪城ホール

書けるかどうかビミョーだと言いながら、結局書くことになってしまった。まあ、この記念ライブに行っておきながら何も書かないのも期待はずれというか肩透かしという人も多いだろうし、私ももやもやした状態なので、書いてしまえばすっきり出来るだろう。

彼らにはまったのが一昨年秋の「ミュージックフェア」で、それから半年くらいの間に全アルバムを揃え、1月には念願のライブ初体験も済ませた。大阪では初の新春ライブ(フェスティバルホール)という、まあ特別興行なんだが、いつものハード・ロックヘヴィ・メタルとは違う、それでいて通じるものもある演出も最低限な「歌と演奏と楽曲で勝負!」な熱いライブに「これぞ本物のロックのライブ!」を強く感じたものだ。

それから10月にも(レポは書いてないが)ZEPP NAMBAでのライブも行き、ストリングスを帯同していないバンド(+サポート・ギター&キーボード)のシンプルなステージングに熱くなったものだ。

そして今回はデビュー30周年記念の初・大阪城ホール。実は私が20年くらい前にはまったGLAYラルクよりキャリアも長く、それこそBOOWYがある意味唐突な終焉を迎えたのと入れ替わりくらいにデビューしてきたこのバンドが関東では大きな会場で何度もやってるにも関わらず、大阪ではこれが初というのもかなり意外であり、いかに関西を軽視…いや盲点にしていたのかと思ったものだ。

当日私が会場にギリギリの時間に到着してみれば既に多くの観客が来場しており、「ガラガラなんてことはないだろうな」という心配は杞憂だった。相変わらず男女比も半々くらいで、年齢層も幅広い。前にも書いたけど、イケメンなメンバーもいなけりゃオシャレでもないしフロントマンは変人だし(あーあ、言っちゃった)、一般受けしそうな曲も実はその一部であり、他は変な曲の多いこのバンドのライブに来るということは、ファッション感覚だけで音楽を聴いてるのじゃない本当に好きな人たちがこれだけ集まったのだと思ったら嬉しくなった。

そしてほぼ満員の客席に入り、先行予約でチケット取ったのに席が後ろの方やんとぼやく間もなく、WOWOWでの生放送もある関係かほぼ定刻にライブは開始となった。

まず一発目は「ファイティングマン」。いつもは最後の最後に出てくるのに、最初っからこれですよ。デビュー作のオープニングを飾った曲ということで「歴史の総括」の始まりにふさわしい景気の良いスタートとなった。その後も「デーデ」「新しい季節へキミと」「悲しみの果て」と代表曲の数々を畳みかけ、「俺たち最大のヒット曲」とのアナウンスの後に「今宵の月のように」。ライブに来るのが3回目にして初めて生で聴けるこの曲、今となってはそれほど感無量というでもないが、はやり感慨深いものがあった。

なお、3曲目くらいから新春ライブにも帯同していた金原千恵子ストリングスも加わって音に厚みと深みが加わっていた。

それからハードな「戦う男」を挟んで「ふたりの冬」「翳りゆく部屋」「リッスントゥザミュージック」とスローな曲が続き、「風に吹かれて」「ハナウタ〜遠い昔からの物語〜」「桜の花、舞い上がる道を」というミディアムな曲の連発。オリジナルだけじゃなくベストアルバムにも手を出したりライブで聴いたりして印象に残った曲が続いたからこれは嬉しい。しかも「桜の花〜」では文字通りに桜の花びらが舞う演出。シンプルなステージングが身上の彼らにしては珍しい…でも、ここまででも照明はいつもより凝ってたし、やはり大会場となるとこのくらいは必要なのかも。それでも同じ会場での水樹奈々に比べればシンプルこの上ない。まあ、あちらはあちらでいいんだけど、この辺はやっぱり個性やね。

それからは「3210」に続く「RAINBOW」、更にはこれも終盤でおなじみの「ガストロンジャー」。この曲がここで出てくるのも驚きだった。この辺は「ハードなエレカシ」コーナーだろうか?「やさしさ」「四月の風」「ズレてる方がいい」と続き、「俺たちの明日」のラストでは「ドカン!」という音とともに金色の紙テープが発射された。ここで「第1部終了」とのこと。

さてそれから私は一旦トイレ&煙草休憩に出るのだが、程なく中から演奏が聞こえてきたので慌てて席に戻ることに。「奴隷天国」がその曲だったのだが、これは完全なヘヴィ・メタル曲…ギターのリフをはじめハードな演奏に叫ぶヴォーカル、彼らのポップな面しかしらないライトなファンは面食らったことだろう。続く「珍奇男」はもっと面食らう人も多かったかもしれないが、初期からのファンにはそっちの方が普通なはず。

「Under the sky」ではバックのスクリーンに幻想的な映像が映し出され、続く「コールアンドレスポンス」での「全員死刑です」にぶっ飛び、「笑顔の未来へ」で少しほっとしたかと思えば「TEKUMAKUMAYAKON」でまたアゲアゲという、なんとまあハチャメチャな構成…しかしそれが可能なのも彼らだからこそ、なのかも。

そして最新シングルとなった「夢を追う旅人」が出て、「花男」が終わった後にメンバーと金原ストリングスが並んで挨拶(だったと思う)、ここで第2部…本編終わりとなった。

それで終わるはずもなく、第3部…いわゆるアンコールへ。「友達がいるのさ」「おはようこんにちは」そして「待つ男」の3連発で全編が本当の本当に終了した。

…しめて3時間、いつもと違った構成ながら私のなじんだ曲はほとんど披露されたし(全31曲!)、非常に満足度は高かった。欲を言えば「愛すべき今日」もやってほしかったが、その辺は言い出せばキリがないからこれでいいとしよう。

MCも最初の方は1曲1曲解説を入れていたが、面倒くさくなったのかだんだん省略されたのもある意味「らしさ」だし、全編通して演出らしい演出と言えば、桜の花びら、紙テープ、スクリーンの映像、そしてやや凝った照明、これだけである。いくら彼らにしては凝ってるとは言え、今時の演出過多なライブに比べればはるかにシンプルであり、その分歌と演奏の力がくっきりと浮き彫りになった。

そう、エレカシ初体験となったフェスティバルホールでは「それほど上手くはないが一体感は凄い」という感想だったのがZEPPでは「熱いパフォーマンス」に変わり、今回は更に音圧の強力さ、そして歌声のパワフルさに圧倒された。フェスティバルホールという会場が山下達郎井上陽水といった「完成度重視」な人たちに合う場所だからなのか、今回は大会場だからPAもそれに合ったものが使われたからか?いやいや、30年の長きにわたって一度のメンバーチェンジもなく続けてきたからこその一体感、そして細かい部分では粗さはありながらもその声量と心に突き刺さる言葉を繰り出す宮本浩次という危ない…じゃなくて恐るべきフロントマンの存在ゆえだろう。

矢沢永吉山下達郎井上陽水といった人たちの歌声を聴いてしまうと大抵の歌い手が貧弱に聞こえてしまう中で彼の歌声はその3人には及ばずながらも聴き劣りはしなかったし、下手すりゃ浜田省吾氷室京介すら上回っていたかもしれない。

メンバー全員が私と同い年だから、もう若くはないバンドなのだが、このエネルギッシュさは一体何なんだろう?しかも今年は年末まで続く全国ツアーが決まっている。出来ることならもう1回でもいいからどこかの会場で見たいものだが、きっと彼らなら最後までこのテンションを保ちながら熱いステージを展開してくれるだろうと思った。

そしてこれから先も確かなロック…不良っぽいのがカッコいいとされる中で「真面目に勉学してきたけど反骨精神を持った文学青年のロック」という独自のスタイルを貫いて、今時のロックバンドとは名ばかりのフニャフニャした連中を全て葬り去ってほしいと強く思った。

おまけ

ライブ翌日が発売日、でも当日に会場で先行発売されていた最新ベストアルバム。まあ、大抵のCDショップではフラゲ出来たと思うけど。私はAmazonで買ったから発売当日の到着になったけどね。

これがまた優れものでねえ…2枚組のCDは1枚がポップな曲、もう1枚がハードだったりぶっ飛んだ曲という構成が秀逸。そして初回限定のライブDVDがまた見もの。彼らの歴史を1枚90数分で追って、その変遷を味わえるのが素晴らしい。皆さん是非ともケチらずに初回盤をゲットして頂きたい…もっとてんこ盛りのデラックス盤をゲットしたぞ!という人には勝てないけどね(笑)。