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タイトルなし

…今、私は…

何だったろう

読んでいた本から、ふと目をあげる

陽のひかりが部屋のなかに暖かく射し込んでいる

シクラメンの赤紫に影が映る

クルミの種から芽吹いた濃い緑の葉が

想像以上にしげっている

今日は…

何日だったろう

そうだ

穏やかな春の日…

時折鳴る、仕事の電話は電気的な呼び出し音

にも拘らず

ほわんとした休日の緩みを

締め直す役割を果たしたりはしない

私は今、

何であったのだろう

机に、常に寄り添う…座り心地の良い、椅子

敷かれてある、絨毯

壁にとまる、テントウムシ

温められた少し澱みはじめた、空気

本の内容は、どこに収められたのか

暫し…たゆとう

脳内には

時の区切りを見付けることができずに居て

ただない交ぜになった

記憶と

感情と

事実と

真実が

絡み合って

それは

思いの外 平穏で

もう少し時を与えれば

時系をたどり

箱に入り

パズルのように嵌め込まれ

私を形づくってくれるのだろう

ゲルである

時として

行きつ 戻りつ

人との間を漂う、われ

綴られる文字は

いざなう力を持ち私に微笑む

誘われるままに

どこへ

いつへ

行っていたのだろう

時にほのかに

また 時に力強いほどのひかりを

ただ受け取っている

この暖かな部屋の中で…